《私の本棚
第九十四》 平成17年1月
「浜坂にて」
野田
宇太郎 著
福岡県生まれの詩人、評論家。この一遍は 『関西文学散歩』 下巻に収録されている。この中で、浜坂は 「針造る町」 としての賑わいに触れていますが、特産品を調べても針の事は出てこない。むしろ現在では、松葉ガニとホタルイカが有名になっている。 意外にホタルイカの水揚げ量は、富山県全体よりも浜坂港の方が多い。JR浜坂駅は昔も今も、湯村温泉への起点になっている。浜坂駅から鳥取寄りに諸寄 (もろよせ) という所があるが、ここで生まれた前田純孝 (じゅんこう) という歌人にも言及されています。諸寄に生まれた薄幸の歌人は三十二歳で亡くなりましたが、町では彼の名を冠した文学賞を設けています。 「ほねを父に肉を母にかへす時そこに残れる何物ありや」 という歌があります。 薄幸故にという解釈ですが、皆何れ必ず訪れる日。未来よりも過去が長くなった我が身、同じような事を考える時もあります。 |
湯村温泉 荒湯遠望 【本文との関係---地理】 |
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