「瀧口入道」 は高山樗牛(参考)の処女作であり出世作であり唯一の小説と評されています。作者が22才の東京帝大生の時 、読売新聞の懸賞文に応募し、一等の該当者なく二等に入選し連載された作品です。 その古典調の文章は、初めはやや読みづらいものですが、慣れてくるとそのリズムの良さが心地よいものになってきます。昔、映画のスクリーンに 「総天然色 」 と映し出された頃の時代劇を思い出します。 物語は齋藤瀧口時頼という武士が横笛という女性に恋をしたものの、叶わぬことと出家し嵯峨野の往生院(参考)に引きこもってしまう。横笛も後を追うように尼となるが、程なく病死してしまいます。 私が初めて滝口寺を訪れたのは30年ほど昔ですが、当時寺の案内係りをしていた中年女性の 「瀧口入道と横笛のプラットニックラブの舞台となりました……」 と言う語り口調が大変面白かった記憶があります。本の中に恋塚は横笛の墓があることになっていますが、未だ尋ねたことはありません。 |
嵯峨野の竹林 【本文との関係---地理】 |
前の頁
,陳舜臣の小説十八史略 次の頁 ,アルトハイデルベルク 第一分冊目次
第一分冊トップ頁 Vol V,トップ頁 Vol U,トップ頁 |