《私の本棚 第八十》  平成15年11月  

    
「ニュールンベルクのストーブ」    ウイーダ 

 作者のウイーダ女史は1839年にフランス人を父親にイギリスで生まれました。本名はルイズ・ド・ラ・ラメーといい、イタリアを愛して当地で69年の生涯を閉じています。とは言っても分かる人は少ないと思うのですが、あの 「フランダースの犬」 の作者と言えば、誰でもが知っているはずです。 「フランダースの犬」 はベルギーを舞台に、「ニュールンベルクのストーブ」 はオーストリアの設定で書かれています。貧しいが明るく子だくさんな家庭の中心に、立派なストーブがあります。9歳の少年オーガストはとりわけかの偉大なニュールンベルクの陶工ヒルシュフォーゲルが作ったストーブを慈しんでいます。ストーブはひょんな事から父親が拾ってきたものであり、実際かつては宮殿の中を暖めていたものでした。寒い冬のある日、貧困から父親はこのストーブをただ同然で売ってしまいます。オーガストは行き先を知っておきたいと思い、この大きなストーブの中に隠れて、ドイツの買い主の家まで旅をします。このお金持ちは、オーガストに十分な教育を与えるというハッピーエンドです。

 良い作品ですが、子供に与えるインパクトはフランダースの犬の方が大きいと思います。 
古知谷阿弥陀寺





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