《私の本棚 第六十九》 平成14年12月
「大 地」
パール・バック
作
中学一年生の夏、何処かの日陰でこの大作を読みふけったことを覚えています。多分、中国の日常生活や習慣等に興味を抱いたのだと思います。 蓮華と梨花と言う名、それに泣き女という職業が出てきたことをなぜか未だに忘れません。貧農出身の王龍は農奴で働き者の妻をえて、次第に豊かになりますが飢饉で没落。その後また大変な努力で繁栄。愛人の蓮華と同居、妻の死亡。自分の農奴である少女梨花に対する愛情と思いやり。 作者バックは中国育ちのアメリカ人で、アメリカ人女性初のノーベル文学賞受賞作家になりました。この作品は、サガ (中世の北欧散文の総称で、家庭生活、農事、航海、戦争などを生き生きと表現する文体) の手法を用いて、中国深奥部を初めて西欧人に見せたと評価されています。 泣き女は中国の風習で、お金を貰って泣く役割を果たす女性がいました。大きな声で泣く人が多ければ多いほど立派な葬式とされています。当然、地続きの韓国や北朝鮮でもそんな習慣があるようです。 |
栃の古木 (樹齢三百年余) 【本文との関係---イメージ】 |
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