《私の本棚
第三十九》 2000年(平成12年)6月
「四面楚歌」 藤堂明保 著 中国名言集より
この言葉は、高校の漢文教科書にも出てきましたので、そのいわれをよくご存じの方も多いと思います。 紀元前204年、洛陽の近くで漢の劉邦 (りゅうほう) と楚の項羽が数ヶ月にわたって対陣していました。両陣営のあった山は約八百メートルを隔てているのみです。項羽はたぐい希な武将でしたが、形勢不利で川辺に追い詰められます。 世に言う 「垓下の戦」 です。ある夜、漢の陣営から謀略によって懐かしい楚 (自国) の歌が聞こえてきます。項羽は、漢が楚国の人を編入して軍を強化している事を (という風に誤解し) 悟ります。項羽は妻 (虞美人) に辞世の歌を歌います。 |
力は山を抜き、気は世を蓋 (おお) う、 時に利あらず、騅 (スイ、愛馬の名) 逝かず 騅の逝 (ゆ) かざるは、いかんずべき、 虞 (グ) や虞や、若 (なんじ) をいかんせん 虞美人の墓に生えた草を虞美人草と言います。 |
紫陽花 |
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