《私の本棚 第七十一》 平成15年2月
「あしながおじさん」 ウエブスター 作
主人公ジルーシャは、孤児院で生活をする聡明で快活な少女です。十七歳の今日まで普通の家庭の暖かさを知りません。もちろん、外の世界を見たこともないと言って良いくらいです。ある日、この孤児院の評議員の一人が、ジルーシャの能力を認めて大学へ行かせてくれることになります。自分の名前は匿名として、学費から寮費、小遣いまで支給をしてくれます。ただし条件は、毎月一度勉強の進み具合を手紙で報告しなければなりません。ジルーシャは、毎月どころか繁く報告をします。その報告書簡が小説の形になっています。主人公は、顔や姿を見たことのないこの篤志家をDaddy-Long-Legsと呼びます。 この女流作家ウエブスターは、母方の叔父がトムソーヤーを書いたマーク・トウェインです。お父さんは出版社を経営し、小説の主人公とは違い裕福な家庭でした。自分の恵まれた環境に浸かりきることなく、社会事業にも熱心で、作品と実生活はかけ離れたものではなかったようです。題名の 「あしながおじさん」 は、たしか日本の 「あしなが交通遺児育英資金」 にも冠されたと記憶しています。 |
オダマキの花 【本文との関係---特になし】 |
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