《私の本棚 第六十六》 平成14年9月
「風の盆恋歌」 高
橋 治
作
この作者高橋治氏と作曲家なかにし礼 氏(参考)は懇意の間柄で、そんな関係からか、石川さゆりさんの演歌 「風の盆恋歌」 があるようです。作中のおさん茂兵衛の物語も石川さゆりさん(参考)
(参照)の歌になっています。 丹念に丹念に水を聞くところから始まる。八尾は坂の町。人生が流れゆくように、水もとどまることなく流れ下っていく。冒頭に登場する七十過ぎの脇役とめさんは、十代の頃、恋心を胸に仕舞い込み、水と盆の踊りに流してきた人。都築克亮とえり子は五十半ば。学生時代にはそれとはなく分かっていたお互いの気持ち。ふとしたことから、毎年風の盆には、隠れ家で三日間を過ごします。恰も風の盆の踊りが、内に秘めた思いをなおさらに三夜の伏し目がちな踊りで表現するように。 九月初めの越中おわらの風の盆は、 地方の胡弓・三味線・太鼓・歌い手、そして踊り手が朝まで町を歩くという。 まるでタンポポの綿毛がそよ風(参照)に漂うような、秘やかにゆったりと哀調を帯びた演奏と歌と踊り。 阿波踊りとは対照的で、気持が入れば入るほど、内へうちへと収斂していくかのように感じます。静かな雰囲気で観ることができれば、夢幻の世界に違いないでしょう。不倫を描きながら罪悪感を感じさせないのは、水、坂道、とめ婆さん、咲けば一日で散るという酔芙蓉、五十半ばという年齢。そしてなんといっても、多くの人の心を揺さぶるであろう 「風の盆」 という語感や舞台設定でしょう。 では、「越中おわら」 の歌詞の一部をご紹介しましょう。 |
(唄われようー わしや囃す)
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越中おわら風の盆 踊りながら歩く |
踊りについて歩く 囃子 |
井田川 |
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