《私の本棚
第五十一》 平成13年6月
「ガリバー旅行記」 ジョナサン・スウィフト 作
作者は1667年アイルランドのダブリンに生まれました。生まれながらに父親の顔を知らず、青年時代までを経済上の理由で、他人の家庭の厄介者として過ごしています。そのような大切な自我形成期の生活と、風刺的な才能に日の当たる時がきます。学会の下らない論争や、キリスト教の分裂、抗争を風刺した本を書いて世間の注目を集めます。 ある意味では歪んだ、ひねくれた性格の作者は、結婚においても一般人の理解を超えていました。ほぼ15歳年下の女性と一緒に生活をし始めて、15年後に形ばかりの式を挙げたものの、生涯妻とも女友達ともつかないものだったようです。 作者は 「この書は人を喜ばせるために書いたものではなく、怒らせるために書いたものだ」 といっています。しかし、大人国・小人国の編などは、子供が喜ぶのが当然のように素直に面白く読めます。ガリバーが海辺で倒れているところを、ロープでぐるぐる巻きに縛られる場面は大抵の人の記憶にあると思います。 作品は作者の手を放れると読者のもので、どんな解釈も誤りではないといえるでしょう。 |
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