サイクルスポーツ2009年5月号に掲載して頂きました 5月1日(高松市〜室戸岬)初日 |
(4/30輪行、JR本四備讃線から 瀬戸内海の景色) |
(4/30 ホテルの窓から) |
市内競輪場近くのホテルに前泊。初日を走りきれば後は何とかなる、という気持で、3時半起床4時半スタート。昨日は慣れない列車移動と完走への不安から腹具合が悪かった。先ずは朝食、コンビニ弁当をペロリと平らげる。 |
(さぬき市青木海岸の日の出) |
(徳島市、眉山) |
(小松島市、那賀川) |
R11は徳島市内の手前に天野峠がある。難所と気合いを入れてきたのに少し拍子抜け。左へ入ると鳴門海峡と淡路島。直進して徳島市内に入って暫くすると、吉野川の大きな河口が見えた。吉野川大橋からは映画の題名になった眉山が見える。何処へ行ってもそうだが、街中を走るのは気を遣うし好きではない。R55に入ると広い那賀川がある。欄干から下を覗くと小さな漁船が何艘も係留してある。こんな景色を見ると必ずシャッターを押したくなる。福井ダムサイトから下っていくと、23番霊場薬王寺と道の駅日和佐だ。 |
(薬王寺まであと少し) ( 薬王寺から道の駅日和佐方面) |
(薬王寺、厄坂からの風景) 薬王寺では般若心経をあげよる予定で、練習不足の経文を葉書大に印刷してきた。誰かお遍路さんはいないかと探していると、自分と同世代の夫婦が石段を上っている。一緒にお経をあげさせてくださいとお願いすると 「私たちは初心者だから」 と断られたが、「私はもっと超初心者ですから」 と食い下がって、優しいお二人を導師にしてしまった。 お経をあげて取りあえず自分は!晴れ晴れした気分。昨日のストレスも嘘のようだ。瑜祇塔まで上って町を見下ろす。 |
(道の駅から瑜祇塔遠望) |
(薬王寺山門) |
山門を出て昼の腹ごしらえに食堂でうどん定食を注文。表に出ると先程まで同じ店で食べていたグループから話しかけられた。フェリーで来て日帰りをするらしい。目元に笑みを含みながら、「室戸岬では何処に泊まるのですか」
と聞かれた。食事前から時々降る小雨の中、別れてまた坂道を上り始める。涼しさは嬉しいが、写真が撮れないのでつまらない。雨着を着るタイミングを逃してしまった。 ずぶ濡れで17時15分到着。 投宿したのは某旅籠。 |
(食堂の窓から 室戸岬と太平洋) |
「部屋の風呂より、大きな風呂でゆったりと体を休めて下さい」と、頻りに勧める。確かにそうだ、と大浴場へ行ったが、空の湯船と浅い湯船が一つずつ。物足りないが充分かな。部屋へ戻ってじっくり見回すと、バスタブは薄茶色の縞模様が入っていて使う気にならないと納得。窓の下の少し剥がれた壁紙は、吹き上げる隙間風に揺らいでいる。真冬でも換気の心配はなさそう。でもまぁ悪いことばかりではない。お詫びがてらか、用向きは判然としないが、大声で客の部屋に出たり入ったりする婆さんがサービスについている。耳が遠いので会話が成立し難い。コインランドリーがあるか尋ねると、泣けるじゃないですか、洗濯をしてくれるという。 戻ってきた高価なジャージはあちこち毛羽だっていた。でもやっぱりその代わりと言えばなんですが、早く乾くようにと電気ストーブを持ってきて部屋を暖めてくれる心づかい。肌はすぐにじっとりとしてくる。コンセントを抜いた。そうか、あの和歌山の紅一点五人連れは経験者だったのか。しかし不思議に心も温まる。寝るのが一番。蒲団の湿気臭さもあっという間に闇に吸い込まれて行った。 本日の距離201q、平均時速21q、高知県東部強風注意報発令中 5月2日(室戸岬〜四万十市中村)二日目 |
5時10分出発。朝から風が強い、どうなることやら。しかし今日は中央構造線を跨がないので比較的平坦のハズ。 |
左・道の駅キラメッセ 中・羽根崎 右・道の駅大山 |
40分後、道の駅キラメッセ室戸でポートレート撮影。自称広いひたいが途中で切れて少しは若く写った。「室戸阿南海岸国定公園羽根岬」 なんて立派な看板を見れば写真撮影。 道の駅大山では直ぐ脇に漁船が係留されているので、また撮影。 |
左・安芸自転車道路 中・琴ヶ浜 右・松並木の自転車道路 |
第一チェックポイントは71q地点の土佐くろしお鉄道赤野駅だと確認しながら走っていると、安芸自転車道の道しるべに気づいた。気分的にゆとりがあったのでそちらへ回る。20q程の道を写真を撮りながらのんびり走る。夜須駅にいた高校生に赤野駅はどの辺りか聞くと、赤岡駅なら少し向こうにあるがアカノ駅は知らないと言う。ならばと二階の切符自販機を見てびっくり、三駅手前にあった。自分が普段通過する駅しか知らないらしい。これじゃ日本列島のイメージが湧かない子がいても不思議ではないなあと嘆かわしい。記念に切符でも買っておこう。 |
左・ (高知市内) 右・ (仁淀川大橋) |
高知市内では脇目もふらずに、R32→R56と接続し須崎市へ向かう。仁淀川大橋は全長633m、四国の周囲を走っているのでどの川も河口しか見ていないから余計に広く感じる。 道の駅かわうその里すさきは、どこの観光の途中なのか大変な賑わいだ。ソフトクリームを食べてから久礼坂・七子峠へ向かう。 |
左・久礼坂 右・七子峠方面 |
昨日からずっと坂道のように感じているので、少しくらいなら平坦に見えるから不思議だ。しかし久礼坂は長い。全長約7q、5〜6%の勾配が続く。坂下の食堂で、うどん半玉のハンガーノック予防の腹ごしらえをする。気温23度、景色は良いが几帳面な勾配が続いた。休憩の言い訳を兼ねて、写真を撮りながらクリヤー。 |
左・ (展望デッキから左方向、室戸岬方面) 右・(展望デッキから右方向、足摺岬方面) |
鹿島ヶ浦・幡多十景の標識に続いて海岸へでた。道ばたのひっそりとした案内に惹かれて入って驚いた。崖の上に張り出した展望デッキで 「左のは室戸岬、右のは足摺岬らしいです」
と、そこにいた25歳の栃木県からの歩きお遍路さんが教えてくれた。見事な景色と会話に時間を忘れてしまった。後日確認したところでは、天候の関係で両岬は見えていなかったのだが、気象条件が良ければ直線距離100qの室戸岬も、38qの足摺岬も見えるらしい。 オット、遊びすぎだ。先を急がないと。 今日のホテルは吉と出るか凶とでるか心配しながら、18時58分到着。あっ、ラッキー!。受付のお嬢さんは可愛いし、部屋も小綺麗。言うこと無し。でも隣の部屋の客は私のいびきで最悪だったかもしれないな。 本日の距離190q、平均時速記録漏れ、高知県中部西部強風注意報発令中 5月3日(四万十市中村〜松山市)三日目 |
昨夜は自分の鼾に驚いて何度も目覚めた。5時起床。生欠伸が止まらない。向かいのコンビニ弁当で朝食。 6時48分スタート。 今日のコースは厳しいと覚悟をしているが、松山に到着すれば完走したのも同じだ。R56を宿毛市、宇和島市へ、西予市役所を過ぎてから県道25号線を経て八幡浜市へ。そこからR378経由で、佐多岬半島付け根を通って松山へ到る186qのコース。 |
松田川に架かる鯉のぼり |
四万十川を越え、松田川に架かる沢山の鯉のぼりを見ながら新宿毛大橋を渡る頃まではほぼ平坦だった。そこからは何処に坂があったかなんて覚えていないくらいの道だったが、海・ミカン畑・坂道・連続したトンネルなど美しい景色を堪能した。八幡浜市を過ぎると、予め確認していない夜昼峠や夜昼隧道に出くわす。面白い名前だが、トンネルは2q以上ありしかも暗くて狭い。 |
(南宇和郡愛南町、旧御荘町) |
(山の斜面のミカン畑) |
やっと抜けると広い下り坂。つい鼻歌も出そうになりながら70q近いスピードで下っていると、大洲市という文字が目の隅を飛んで行った。エエーッ、ウッソー、こんなところへ来たらまだまだ山越えが続くということやないか。やっと道を間違えたことに気づいた。教えてもらってJR予讃線と肱川に沿って伊予灘へ出た。途中で右手川向こうに小さく天守閣が見える。何なのかと思い歩いていた女性に尋ねると、大阪のおばさん風に、なんだ知らないのかとばかりに唇を突き出して 「大洲城ですよ」 と教えられた。(済みません知識不足で。帰ったら勉強しておきます。) おかげで大洲城も遠望できたし、肱川沿い左岸堤防16q余りを、独り占めのサイクリングを楽しめた |
肱川 左岸堤防独り占めでした |
19時15分ぴっかぴかでキンキラキンの松山全日空ホテル到着。愛車はガードマン付きの地下駐車場へ。自分はボーイさんに伴われて部屋に案内された。夏用ウエアーでレストランに入るのは気が引ける。スタート以来コーヒーさえ口にしていないのに、ルームサービスを取って完走の前祝いに飲めないビールを一杯。実は一口しか飲めないんですが 旨いっ。 |
本日の距離194q、平均時速21q、高知県の気温は32度 5月4日(松山市〜高松市)最終日 |
7時半起床。今日はサイクリングコース。街中を抜けてR11を約20q進むと桜三里に至る。峡谷沿いに桜並木が三里続き、花の咲く頃は見事だろうと思う。長い下り坂を、景色を眺める休憩の合間に時々走って景観を楽しんだ。 |
(桜三里の景色) |
西条市で62番霊場宝寿寺の案内が見えた。近いのならばと参拝。しかし、まだ中年に達しないご夫婦が、子安大師に向かい、一心に読経する後ろ姿に気圧されて、手を合わすことができなかった。石鎚神社へも参拝、短いが随分キツイ坂道を登った。 |
左・ (宝寿寺 子安大師) 右・ (石鎚神社 --石鎚山が御神体--、 神門) |
石鎚神社 神門の天狗像 |
(新居浜市、神奈川県からのお遍路さん) 歩き遍路さんの後ろ姿を撮影(させてもらった)。 |
そうやって気を取り直して快走しているのに、ヘルメットの中に虫が入った。止まって取っていると、ロードのお兄さんが追い越していった。相手は跨道橋の下を迂回、こちらは上り坂ダッシュ走法で勝手にバトル。5qほど走ってからお兄さんが横道にはいったので勝負無し。 坂出市では、これまたえらくデカイお兄さんに遭遇。高松市へ入る頃には時速35q位でぶっちぎり。 レースをしているわけでも無いのにと、自分でも少々呆れて苦笑い。 可愛げのない行動が逆治療になって、足の痛みも解消。18時40分、スタートをした時と同じホテルにゴールした。 本日の距離162q、平均時速22q、4日間の走行累計750q。写真撮影合計109枚 人生節目の遠足は終わった。数年間温めてきた48時間耐久計画からは大きく後退したが、結果的にはお遍路さんのまね事もできた。健康な体を頂いたことや、こうしていられることに感謝しています。 さて........と、思いは早くも来年の行き先へ・・・・・・・・・・ |
(JR高松駅前にて) |
宇宙飛行士,若田光一氏撮影、 宇宙から中国・四国・紀伊半島 |
サイスポ 2009年5月号に掲載して戴きました |
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