この作品は、日本プロレタリア文学の代表的作品とされています。 昭和四年の作ですが、当時は発禁処分になるなどの扱いを受けています。言論や思想の自由が認められない時代に、この作品のような貧困階級に焦点を合せた小説を発表するということは相応の覚悟も必要だったと思います。作者自身も秋田県の没落農家の二男に生まれ、相当な苦労をしたようです。 通常は 「主人公」 が存在するが、この作品にはそれが無い。無産階級の半ば騙されたり、十四や十五の少年であったりの集団が「私」として描かれている。絶対的な資本家と絶対的無力の労働者を対比すべく展開する。暴風の中、難破船の救難信号を受信するが、船長は利益優先の為に無視する。一人の漁夫が船内で病死するが、身も凍るようなカムチャッカの海に葬られる。漁夫たちは自分の明日の身の上を見て取って、交渉に立ち上がるが弾圧されてしまう。 読んでいてもジメジメしないのは、確信的な思いが筆にこもっているからでしょうか。 |
鴎の滑空 |
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